会長挨拶

第42回日本高気圧環境・潜水医学会学術総会
会長 東海大学医学部専門診療学系救命救急医学
山本五十年


 この度、第42回日本高気圧環境・潜水医学会学術総会を開催させていただくにあたり、一言ご挨拶申しあげます。

 今日、集約化と連携を旗印にしてDPC導入をはじめとする医療制度の構造改革が集中的に進められており、高気圧酸素治療もこうした医療環境から自由ではあり得えません。最近、医療経営上の問題から高気圧酸素治療を廃止する施設が増加しており、セーフティネットの綻びが顕在化しています。今や、高気圧酸素治療のサバイバル戦略を真剣に検討するべき状況に立ち至っていると申しても過言ではありません。

 そうした意味から、本学術総会では、「高気圧酸素治療のエビデンスと標準化」をメインテーマに掲げました。高気圧酸素治療のエビデンスを学び創り発信すること、「医療再編」の荒波を乗り越えて、より一層社会に貢献する学術団体へ発展することを願い、多くの企画を準備させていただきました。皆様の温かいご協力とご支援をいただきまして、42年間の本学会史上最多の88演題を予定しています。招待講演、特別講演、鼎談、教育講演、シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップ、特別報告、一般演題の他、DAN Japanと潜水医学情報ネットワークと共催し、ジョイントシンポジウムも開催の運びとなりました。会員の皆様のご尽力に心から深謝申しあげる次第です。

 本学術総会を開催するにあたり、次の諸点に配慮しました。第一に、法人化された本学会が社会的輿望にこたえうる学術団体として学術研究活動を粛々と展開し、今後の諸課題を明らかにしていただくことです。第二に、専門医認定委員会・教育委員会・保険委員会等の諸委員会、技術部会、安全協会、地方会や関連諸団体の活動成果を踏まえ新たな発展を期することです。第三に、経験の深い先輩諸氏に支えていただきながら、次世代の多くの研究者に機会を提供することを目指しました。第四に、高気圧酸素治療にかかわる急性期医療の専門医の現実感覚を重視し、臨床的・社会医学的観点からの問題点と課題の抽出を試みていただくことです。最後に、わが国の高気圧環境・潜水医学と医療の発展のために同じ目的を有する諸団体と諸個人が意思疎通し融和を図ることを目指しております。

 招待講演には、本学会元副理事長で小生の恩師であります太田保世名誉教授(太田綜合病院)と再生医療を最前線で切り拓いておられる浅原孝之教授(東海大学)にお願いしました。また、日本救急医学会代表理事の山本保博教授(日本医科大学)と本学会代表理事の眞野喜洋教授(東京医科歯科大学)に特別講演をお願いしております。

 横浜港を一望する横浜開港の地で情報を交換し交流を深め展望を模索していただければ、これに勝る喜びはありません。多くの皆様のご参加をいただき、わが国の高気圧環境・潜水医学の発展につながる意義深い学術総会になりますよう念じております。